2010年06月08日 22:11

『夕闇通り探検隊』プレイ日記 vol.51
【エンディング】

 3人の探検は、これにて幕を下ろします。
 AVGとしては、未だにもっとも好きなゲームですから、プレイ記を書くのは、とても楽しく
 また、再プレイで、ちょっとしんみりもしてしまいました。
 あらためて、不思議な雰囲気のゲームですね、夕闇通り探検隊は。


人面ガラスもカラスの呪いも、“現実” にはない。
それらはすべて自分たちが作り出したものに過ぎなかった、と結論づけたナオ。
呪いを否定したナオに残ったのは “現実” のみ。
見事、呪いに打ち勝ち、クルミの病室へ向かったナオとサンゴを待っていたのは、
シイナ クルミが無理な新薬の投与によって、二度と目覚めぬ身体になった、という “現実” でした。
呪いは解けたはずなのに、何故こんなことになったのか…。
ナオはこれは夢だと言い聞かせます。
目が覚めて、本当の現実が動き出すまで、待っていれば良いだけなのだ、と。

娘を理解してやれなかった自分たちの心残りで、この呼吸器は動いている。
クルミの鼓動だけが、今の自分たちの心の拠り所だと、両親は言います。
それを聞いたナオは、以前にお見舞いに来たとき、初めてクルミの涙を見たことを思い出しました。
今なら、あのときクルミが泣いた理由が解ります。
クルミはみんなが自分のせいで悲しむのが厭で、いつもみんなに笑っていて欲しいのです。
だから、クルミのために、肩の荷を下ろして………





深夜、ナオはチャイムの音で目が覚めました。
激しく不規則に鳴らされるチャイム。
恐る恐るドアを開けると、そこにはいつもと変わらぬ、クルミの笑顔がありました。
サンゴも一緒です。
ナオはメロスと共に、クルミに誘われるがままに、遊びに出かけました。
歩き出したクルミは、突然その場にうずくまります。
あの日の悪夢が蘇り、慌てて声を掛ける2人。
ところがクルミは、あっさり立ち上がり、焦る2人を見て楽しそうに笑いました。
腹を立てて帰ろうとするサンゴ。
けれどもクルミに呼び止められれば、結局付き合ってくれるのです。

クルミはナオとサンゴを連れて、陽留見七神を巡りました。
彼らとの会話から察するに、どうやらクルミは陽留見七神の1人として迎えられるようです。
クルミの代わりに居なくなるのはカスカ。
昔々、陽留見に橋を架けたとき、頻発する洪水を収めるために人柱にされたのがカスカでした。
供物として捧げられたカスカは、ずっとみんなの記憶に留まり続けました。
けれども時が流れ、カスカを覚えていた最後の1人の命が尽きたとき、カスカもまた…。
少し寂しいカスカとの別れを終えて、ナオの家まで戻ってきた3人。
クルミはナオとサンゴに、元気にさよならを言って、走っていきました。





それ以来、ナオは夢の中にいるような毎日を送っていました。
クルミが居なくなってしまった現実を、まだ受け入れられずにいたのです。
そして、ある日の夕方。
ナオはサンゴとメロスと共に、夕暮れの河原にやってきました。
毎日のように一緒に散歩をしていたサンゴとも、話すのは久しぶりです。
言葉少なな2人。
そんな中、ナオはぽつりとあの夜のことを口にしました。
確かに死んでいたはずのクルミが、散歩に誘いに来たあの夜のことを。
きっとクルミはまだ、この街に居る。
ナオは、そう感じていました。
しかしサンゴは、それでも幽霊など信じないと言い切ります。
終わったことを悩んでいられるほど自分は暇じゃない、といつもの論調で。
それよりも、もっと自分の方を見て欲しい、とこぼすサンゴ。

「あたし、きっと可愛くなるから!」



これにて 『夕闇通り探検隊』 探検終了。
最後の最後に、クルミに誘われて、まぎれもなく不思議な体験をしたナオとサンゴ。
七神巡りに付き合ったサンゴなら、それが現実のものだったと解っているはず。
それでも頑なに否定するのは、肯定してしまったら、ナオがクルミのように、
どこか遠くへ行ってしまうような気がしたのかもしれません。
ここでサンゴがすべてを肯定する清涼感をプレイヤーに与えてくれないのが、
このゲームの魅力なんだろうなぁと思います。

そして、雰囲気ぶち壊しのエンディングテーマ。
クルミは重苦しいのが嫌いですからね。
予想外の軽快な音楽に、笑うも良し、怒るも良し、呆れるも良し。
しみじみ余韻に浸って泣くほど暇じゃない、くらい言ってのけないと、クルミも笑っていられないでしょうね。






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