PM 5:26 アシタール公園
熱々のヤキイモを顔面に喰らったヨミエル。
ヤキイモと言えど、弾丸の速度で喰らったものは相当な衝撃だったようです。
吹き飛ばされたヨミエルの体は支柱にぶつかり、背中に支柱から出た突起が突き刺さってしまいました。
けれども、不幸中の幸いか、死には至らなかったもよう。
ホッとしたのも束の間、ヨミエルがぶつかったために、ミノくんのオブジェがぐらつき、
リンネの上に落下してきました。
もう操れるものもなく、取り替えられるものもありません。
それでも、これ以上誰も死なせまいとするシセルに、ヨミエルは自分のチカラがあると言いました。
ヨミエルの指示に従い、左手のノズルを 《アヤツル>>>フキダス》と、水流に乗ってライトが宙を舞います。
それはちょうどミノくんと同じ形になりました。
これでミサイルの 《トリカエ》 が使えます。
ミノくんの落下は抑えられませんが、時間は稼げました。
ヨミエルのチカラは、生者に取り憑き、操ることができます。
気絶している自分自身を操り、リンネを助けられると言うヨミエル。
そして、支柱に刺さった体を無理矢理引き抜き、リンネを抱え上げると、ジョード刑事に投げ渡します。
代わりに、ヨミエルの体はミノくんに押しつぶされてしまいました。
でも生きてるぅ!・゚・(ノД`;)・゚・
よかったよぉ……(ノд`)
ホントに死んじゃったかと思った。
ジョード刑事に頼まれて警察に連絡しに行ったリンネ。
駆け戻ってきた彼女は茂みの中に倒れているクロネコを見つけます。
ネコは外傷も見当たらないのに、ぐったりしていて動けません。
ジョード刑事はネコを連れ帰り、自宅で飼うことにしました。
それを見ていたヨミエルは、「あいつの運命も大きく変わったみたいだ」 と呟きます。
このクロネコの名前こそシセル。
それを聞いたシセルは、すべてを思い出し、本当の姿も取り戻しました。
10年前、公園に居た小さな野良猫は、孤独に震え、誰かに手を差し伸べて欲しがっていました。
その言葉に応えたのは魂となったヨミエル。
無意識に手を伸ばしたヨミエルは子猫の体に取り憑き、しばらく共に暮らしていたようです。
やがて記憶を取り戻したヨミエルは自分の身体を取り戻し、子猫の体を出て行きました。
ヨミエルにはどうしても会いたい女性が居たのです。
けれども、彼女はヨミエルの後を追って命を絶っていました。
子猫は、ヨミエルの婚約者だった女性の名を付けられ、ヨミエルと行動を共にします。
シセルにとっては幸せな10年でしたが、ヨミエルにとってはそうではありませんでした。
ヨミエルの心は孤独の中で歪んでいき、復讐と新たな人生を求めるようになります。
そしてあの夜、リンネに自分を殺させたヨミエルは、シセルの体に取り憑いて現場を去りました。
ところが、リンネを操りきれず誤射したあの1発が、シセルの命を奪っていたのです。
ヨミエルから発せられるアシタールの放射能の中で死んだシセルもまた、死者のチカラを得ていました。
ヨミエルはそれに気づいていましたが、死の直前に戻る能力はシセルにだけ与えられたもの。
そのチカラを持たないヨミエルには、大事なシセルを助けることも、婚約者を救うこともできませんでした。
それも今夜で終わりです。
すべての始まりが変わった今、全員の運命が変わっていくことでしょう。
ヨミエルはシセルに出会えた事への感謝と命を奪ったことへの謝罪を述べ、シセルもをそれを受け入れます。
ここから10年、まったく違う運命が待っていますが、1度死者となった者たちの記憶は消えません。
罪の意識も後悔も、すべて抱えたまま、新しい10年を生きることになります。
それでもまた、いずれ運命が交差するときがある、と言うシセル。
これにて最後の 『更新完了!』 です。
そっか、シセルは何度か出てきていたあの猫だったのかぁ。
知識がないのも字が読めないのもそのせいだったのね。
黴はクネリと関係があるんじゃないかと思っていたんですよね、あの猫。
…なんて言っていたら、現在に戻る前にクネリに声をかけられました。
これでクネリの望んだ形の未来になったようです。
正体を問われたクネリは、ある物語を語ってくれました。
それはリンネが殺し屋に命を奪われた場合に起こった未来。
リンネを殺した殺し屋とヨミエルは、カノンとミサイルをも殺害し、オルゴールを奪います。
その際、ヨミエルの近くにいたミサイルには、死者のチカラが備わりました。
しかし、ミサイルの持つチカラだけでは、どうしてもカノンを救うことができません。
ミサイルは必死に殺し屋たちを追いかけ、ヨミエルの亡骸と共に、海底に沈むこととなります。
そしてミサイルの魂は10年前の世界に戻り、再びあの夜が来るのを待っていました。
10年の間に年老い、チカラも弱くなっていたミサイルは、シセルという仲間を見つけます。
本来、ミサイルが死んだあの夜、ゴミ捨て場に向かったミサイルはそこでシセルの魂と出会っていました。
シセルは 《アヤツル》 能力、そして電話線を使って移動する自分にはない能力を持っています。
ですが、自分の記憶を取り戻したいシセルはミサイルの申し出を断り、去っていってしまいました。
だからこそ、もう1度シセルに会ったとき、ミサイルは言葉巧みにシセルを誘導し、味方に付けたばかりか、
明日の朝までという期限を設けて、ヨミエルが海底に沈む前にすべてを解決しようとしたのです。
リンネとカノンを助けるためだけに、10年待ち続けた老犬の存在も、運命が変わったことで消滅します。
ミサイル爺ちゃん、おつかれさま!
それから10年。
リンネは晴れて刑事となり、ジョード刑事の家に招待されました。
ここでカノンとリンネは初めて対面することになります。
そしてカノンの足下には小さなクロネコ。
10年経っても子猫のまま、ちっとも大きくならない猫の名前はシセル。
その名にうっすらと覚えがあるくらいのリンネですが、きっと運命に導かれて此処にいるはずと感じます。
猫を抱き上げたリンネは 「また会えたね」 と告げ、その名を呼ぶのでした。
すっごく楽しかった!(*´∇`*)
システムも良かったですし、ストーリーもぐいぐい引き込まれますね。
シセルの正体も意外すぎましたが、バンバン張ってた伏線が回収されていく様が爽快で、
違和感を感じないというか、文句のつけようがないです。
主人のために10年待った忠犬ミサイルも素敵ですけど、
ヨミエルとシセルの関係がどうにも泣けてしまいました。
特にモノローグでシセルが、ヨミエルと一緒に居た10年を幸せだったというあたりにホロリと…。
ところで、黒猫シセルは子猫のままで成長が止まってしまったということは、
あのとき、ジョードさんの足を貫通したアシタールはシセルの体内に…ってことですよね、きっと?
幼いリンネが抱き上げた子猫が、外傷がないのにぐったりしていたのも、
死んだ体をアシタールが修復していたから、魂が気絶していたんでしょうか。
ヨミエルと同じように永遠に死と再生を繰り返す体になっちゃったのかな。
考え得る限り、最も良い結果に終わったように見えたけど、犠牲がなかったわけではないんですね。
でも、シセルの独白を聞く限り、すべてを理解して受け入れているように見えます。
黒猫シセルが、いつかまた、少しでもヨミエルと会えると良いなぁ。