船着き場への道を塞いでいる鬼火を、柳の琵琶で蹴散らして一行は船に乗り込みます。
月夜の川を船で渡る間は、明心も柳も姿を現しており3人パーティー感が強くなりました(*´∇`*)
ここで明心から、七雲の父と共に仕事をしていたころのことが語られます。
七雲の父・隠山(インシャン)は常に用意周到で、仕事はいつも大成功でした。
逆夢の力を持つ隠山とその補佐である明心の役目は、白黒無常からの依頼で魂を救うための妖怪退治。
どちらかが危険に晒されることがあっても、互いに全力で守り合うことで幾多の困難を乗り越えてきました。
しかし明心は、自分が油断したせいで失敗を招き、隠山を守ることができなかったと悔いています。
隠山を殺したのは、白蓮教の趙真人(チャオしんじん)。
元々は逆夢師でしたが妖怪の内丹を飲むと寿命が延びることを知り、内丹を手に入れることを目的とするようになった危険人物です。
その手法は、怨念によって妖怪と化した人間から内丹を回収するというもの。
変わり身と人心を惑わす術に長けた盧婉(ルーロワン)という仲間を使って、人に怨念の種を植え付けているのだそうです。
内丹の服用は天道に反する行いであり、四神の庇護を失った趙は聖壇を使えなくなりました。
そのことで他の逆夢師を逆恨みして殺して回るようになり、隠山は最後の逆夢師として命を狙われたのです。
人に怨念の種を植え付けて妖怪にする……となると、今回の蘆河村の件も白蓮教が村人を妖怪に?
産女になってしまった繍さんも盧婉とかいうやつに何かされたのでしょうか。
隠山の息子である七雲は、四神の血脈における最後の継承者。
明心は今回の案件に関わったことで、七雲の存在が白蓮教に知られることを恐れていました。
蘆河村の人々を救ったのだから、白黒無常からの仕事はこなしたはず。
妖怪退治よりも七雲の命が大事だと主張する明心ですが、七雲はそれを良しとしませんでした。
明心は父が相手だったらそのような進言はしなかったはず。
父は大義のために死んだのに、自分はぼんやり生きていろというのは承諾できる話ではありません。
相棒を失って託された息子だけは守りたいという明心の気持ちも解ります。
一方で事件が解決したわけではないのに、身が危険だからと逃げ帰るのに納得できない七雲の気持ちも理解できます。
今回は既に隣村に向けて出発してしまっていますし、七雲が押し切る形で会話は終了しました。
川を渡って竹渓村に着いたときには夜が明けていました。
川岸には風車で遊ぶ男の子と、それを見守るおなかの大きな女性。
どうやら第二子を妊娠中の繍さんと、7年前おなかの中にいた子どものようです。
一得道士に会いに来たことを告げれば、道士は怪我をしてから山から下りてこないと教えてくれました。
村に入ると何貴さんが畑を耕しており、大工仕事をしている岳老六さんもいます。
ところが七雲が蘆河村から来たことを話すと「あの女の仲間か?」と言われ、態度が硬化してしまいました。
彼らからは何も聞けそうにないので村の奥へ進むと、一際立派な家があります。
しかし門番がいて「奥様には会えない」の一点張り。
また、道士が居るであろう山への登山路でも「立入禁止」と言われてしまいました。
霧が深く入ると迷ってしまうだけでなく、死者も出たことがあるので“奥様”の命令で立入を禁じているのだとか。
登山路よりも奥まった位置にある家では、幼かった慈ちゃんが成長した姿で裁縫を習っていました。
柳は「慈ちゃん!」と呼びかけますが、霊になってしまっているので声は聞こえないもよう。
見知らぬ七雲に、畑に咲いた鳳仙花をくれると言う慈。
自分で育てた花を人にあげるのは、育てているときの素敵な気持ちをあげることと同じ。
だから花を人にあげると、自分も嬉しくなる……。
それが祖母の教えだと言って。
彼女の言葉を聞いた柳は、あのとき自分に花をくれた理由が理解できました。
畑から入手した鳳仙花は、そのまま草木の精の手に渡ります。
草木の精は「窓辺に座って鳳仙花の花びらで爪を染めていたあいつ」のことを思い出しました。
彼女が笑いながら「天禾(テンホー)きれいでしょ?」と言ったことも。
生前の名前が判明しましたが、今のところ村の関係者に同名はいませんね。
山に入る許可を得るためには“奥様”に会わなければいけませんが、取り次いでは貰えません。
七雲が困っていると、先ほど慈に裁縫を教えていた女性…黄おばさんが声をかけてきました。
梁(リャン)の奥様は自慢の息子が博打に手を染めて堕落したため、自立を促すために家を追い出したそうです。
しかし息子は物乞いとなったあげく、蘆河村で妖怪に殺されてしまいました。
蘆河村へ遺骨を探しに行くこともできず、ショックを受けた奥様は人に会うことを避けるようになってしまったのだとか。
あの物乞いの霊のお母さんかぁ。
てっきり一旦蘆河村に戻って物乞いの霊に会うのかと思ったら、「息子のことで話がある」と言って奥様に会おうとする七雲。
門番と押し問答になり、騒ぎを聞きつけた奥様が出てくるなり「足るを知り自ら戒む」と梁の家訓を口にしました。
七雲って坊ちゃん然としている割には、対人関係だとしたたかですね。
家に入れてくれた梁夫人に対し、四値功曹門下の道士だと名乗る七雲。
道術によって梁琪が夢枕に立ち、彼自身から言伝があったのだと嘘を吐きます。
疑う夫人ですが「もう一度母の作った魚の煮付けが食べたかったと言っていた」という言葉に、七雲の言葉を信じてくれました。
七雲はそんな夫人に、梁琪は母親の言うことが正しいと悟り後悔してはいたが合わせる顔がなくて帰れなかったのだ……と伝えます。
それを聞いた夫人は、面子など考えず息子を探しに行けば良かった、と嘆きました。
嘘と真実を適度に織り交ぜて、相手を信じさせるあたり本当にしたたか(;´Д`A
息子のことで嘘は吐いていないので悪質ではありませんが、騙し方を熟知している感じがします。
すっかり七雲を信じた奥様は、道士ならば山の霧も大丈夫だろうと入山を許可してくれました。
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