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2010年03月03日

第18話 『右京、風邪をひく』


相棒 8th season 第18話 『右京、風邪をひく』 (10/03/03放送)
 3月4日深夜、遺体を山中に埋め、車で立ち去る2人の男女。
 男性は、遺体の所持品であるペンダントを持ってきてしまったようで、女性に叱責されています。
 彼らは絶対に見つからないと自分たちに言い聞かせていましたが、その3日後の3月7日、
 タケノコ掘りに来たお年寄りたちによって、遺体はあっさりと発見されてしまいました。




1周目:3月7日
 朝、神戸くんは、自分の忠告を聞かなかった上司が、見事に風邪を引いていることに笑いを洩らしました。
 本人は治りかけだと虚勢を張りますが、咳も止まらず、完全に風邪の様相を呈しています。
 それを押して、山中から見つかった遺体の情報を聞きに、鑑識へ向かった特命係。
 被害者は西島 武彦さん (65) 。
 窃盗の前科があり、死因は頭部殴打によるくも膜下出血でした。
 遺留品の中で米沢さんが気になっているのは、裏側にだけ油性ペンの跡がついた軍手だそうです。

 被害者の住んでいたアパートの住人に聞き込みをしていた捜一は、ある女性の態度に不審感を抱きます。
 その女性・樫山 ジュンに揺さぶりを掛けようと、夜半にもう1度、彼女の家を訪ねた捜一。
 すると、彼女は泣きながら犯行を認め、共犯者・戸倉 翔の存在も、あっさりと自白しました。
 わずか1日で事件を解決したことを特命係に賞賛され、捜査の何たるかを説く伊丹刑事。
 すると神戸くんは、今回のことを 「運が良かった」 と言い、右京さんは 「運と言うより縁」 と評します。
 含み笑いの2人の態度に、首を捻る捜査一課ですが…。





2周目:3月6日
 ここで時間が巻戻り、前日のお話。
 咳をしている右京さんに、早めに帰るよう奨める神戸くん。
 そこへ、あるアパートの大家・遠山 ちずさんから電話が入ります。
 右京さんの代わりに彼女の元へ向かった神戸くんは、アパートの店子・宮村 美保子さんが
 結婚詐欺に遭ったうえ、自殺未遂をしたという話を聞かされました。
 厳密には金銭的被害がないため、警察は介入できませんが、男と直談判するという2人に立ち会うハメに。
 その相手の男というのは、美容師の戸倉 翔。
 自分とは単なる遊びだったと聞かされた宮村さんは、泣きながら所持していた刃物を振りかざします。
 神戸くんが取り押さえ、事なきを得ましたが、戸倉さんは怯えきり、高価そうなネックレスを差し出しました。
 大家さんは、ネックレスを受け取り、泣きじゃくる宮村さんを支えて、店を後にします。
 …その夜、帰り支度をしていた神戸くんの元に、再び大家さんから電話が入りました。
 今度は、戸倉さんが突然、宮村さん宅を訪れ、奪い取るようにネックレスを持ち去ったと言うのです。
 神戸くんは、翌日、戸倉さんに事情を聞いてくることを約束し、ようやく長い一日が終わりました。


2周目:3月7日
 何の成果もなく帰ってきた神戸くんを叱咤する大家さん。
 すると神戸くんは、静かな口調で、彼は貴方たちが思うより、ずっと重い罰を受けるだろう、と言います。
 そしてその言葉通り、戸倉さんは殺人の容疑で逮捕されることとなりました。

 取り調べを受けた戸倉さんは、西島さんを殺すつもりはなかったと訴えます。
 恋人である樫山さんと2人、帰り道を歩いていたとき、彼女が不意に、ネックレスがないと言い出しました。
 2人で探し回っていると、後方からそれらしきものを手にした男性がやってきます。
 声を掛けると、その男性・西島さんは慌てて逃げ出しました。
 追いすがった戸倉さんは、ネックレスを奪い返しますが、その際、暴行を加えたために、
 西島さんは頭を強打し、亡くなってしまったのです。
 しかも、西島さんが持っていたのは、樫山さんのネックレスではありませんでした。
 彼らは、人知れず、西島さんを山中に埋めることを決意します。





3周目:3月5日
 角田課長が、特命係に持ち込んできたのは、課長の奥さんの友人からの依頼。
 どちらか1人でも良いと言われ、一瞬固まる2人ですが、結局、右京さんが担当することに。
 内容は、祖母の代から受け継いできたスチュワートハミルトンのネックレスが盗まれたというもの。
 昨日、不審な男性が家を覗き込んでいるところは目撃されているのですが、室内を物色した様子はなく、
 盗まれたのも、そのネックレス一点のみです。
 ともかく、右京さんが自宅内を調べていると、小さな咳が聞こえてきました。
 娘のこずえちゃんが、様子を見に2階から降りてきたようです。
 こずえちゃんは喘息持ちで、現在は風邪をこじらせ、自宅療養中。
 右京さんが庭を調べていたところ、こずえちゃんがこっそり近寄ってきて、母親が何処かで落としたのを
 盗まれたと言い張っているだけなので、調べても無駄だと思う、と告げました。
 まずは、質屋を調べることにした右京さんは、近場の質屋で、それらしき男性の情報を掴みました。
 男性は、ネックレスを見せて値段を聞くと、その高値に驚き、「返さなければ」 と呟いたそうです。


3周目:3月6日
 防犯カメラに映っていた男性の姿から、身元を突き止めた右京さんですが、
 管理人さんの話によると、その男性・西島さんは2日間ほど不在とのこと。
 親類も知人も居らず、ハローワーク通いが日課という西島さんは、室内を見る限り、きれい好きで几帳面。
 新聞や鍋の煮物をそのままにして、2日間も留守にするとは思えません。
 管理人さんに捜索願を出して貰うことにして、西島さん宅を辞した右京さんは、
 ちょうど帰宅したアパートの住人・樫山さんに声を掛けました。
 特に何も知らないと言う樫山さんですが、右京さんには彼女の言葉尻が気になります。

 警察に目を付けられたかもしれない、と不安になった樫山さんは、すぐさま戸倉さんに電話。
 しかし、戸倉さんは修羅場の真っ最中です。
 折り返し電話を掛けてきた戸倉さんから、ネックレスをあげてしまったと聞き、激高する樫山さん。
 すぐに取り返して処分しろと叱りつけます。

 夜になり、ネックレスの行方に目星がついたと報告に行った右京さんを、こっそり付けてくる人物が居ました。
 その正体は、こずえちゃん。
 どうやら、こずえちゃんは右京さんに話したいことがあるようですが…。


3周目:3月7日
 右京さんは、管理人さんから、西島さんが遺体となって発見されたことを告げられます。
 あの捜索願のおかげで、早期に身元の確認ができたとのこと。
 つまり、米沢さんから情報を聞いているときには既に、右京さんは西島さんの身元も、
 窃盗の前科があることも、すべて知っていました。
 右京さんから、この奇妙な縁について話を聞いた神戸くんは、盗まれたネックレスの写真を見て驚愕。
 つい先日、これと同じものを目にしたばかりです。
 急ぎ、戸倉さんの自宅へ向かった特命係ですが、このとき戸倉さんは、遺体発見のニュースに怯え、
 逃亡するために、都内のホテルに一時避難していました。
 もしかしたら、本命の恋人のところへ行ったのかもしれない、と考える神戸くん。
 ところが、肝心の恋人の名前が、はっきりとは思い出せません。
 神戸くんの発する曖昧な名前が、右京さんから 「樫山ジュン」 の名を引き出しました。
 右京さんが彼女の名を知っていることに驚く暇もなく、樫山さんのアパートに向けて車を飛ばす特命係。

 間一髪、自宅を出ようとしていた樫山さんを引き留めることは出来ました。
 しかし、ネックレスの一致を問いただそうとするも、樫山さんはネックレスが偶然同じだっただけだと言います。
 神戸くんには、何故彼女が、他に交際相手の居るような戸倉さんを、ここまで庇うのか解らない様子。
 樫山さんは、隠蔽と引き替えに、自分だけの傍に居て欲しいと要求した、あの日のことを思い出します。
 ゆっくりと顔を上げ、自分には彼しか居ない、と言う樫山さん。
 昨年孤独死したアパートの住民のように、誰ひとり訪ねてくる人も居ない西島さんのように、
 家族も親戚もいない自分にとって、戸倉さんだけが唯一の繋がりなのだ、と。
 西島さんは誰とも繋がりのない天涯孤独な人。
 そんな彼が死んだからと言って、誰が悲しみ、怒り、困るだろうか。
 だとしたら、真相を暴くことに、一体何の意味があるのか。
 そう訴える樫山さんに、右京さんは1つの証拠品を見せました。
 それは、内側に油性ペンの跡がついた西島さんの軍手。

 学校に行けず、自室から外を眺める日々が続いていたこずえちゃんは、
 毎日、徒歩でハローワークに通っていた西島さんと顔見知りになります。
 西島さんは、こずえちゃんを喜ばせるため、軍手でウサギのパペットをつくり、ちょっとした人形劇を披露。
 嬉しくなったこずえちゃんは 「いずれ受け継ぎ、自分のものになる」 ネックレスを西島さんにプレゼントします。
 てっきり、子どものアクセサリだと思って受け取ってしまった西島さんですが、
 その値段を知り、返さなければならない、と慌てたのでした。
 一方のこずえちゃんは、西島さんからネックレスを取り上げたくない、という思いから、
 盗難騒ぎになっても、口をつぐみ続けたそうです。
 右京さんが証明してみせたのは、西島さんが天涯孤独などではないという事実。
 誰とも繋がっていない人間など、この世にはいないと言う右京さん。
 本人も知らない何処かで、人は支え合って生きているのではないだろうか、と。
 
 特命係が去った後、樫山さんは連行されるまで、ベランダでただ、西島さんのことを考えていました。
 そして、パトカーに乗る直前、警官に話しかける男性の声が聞こえてきます。
 振り返ればそこには、犬が銜えてきてしまった、というネックレスを持った男性の姿が。
 それを見た樫山さんは、小さく笑みを浮かべるのでした。



【総評】
 とっても良かったです(*´∇`*)
 時系列に凝ることで、驚愕の新事実が判明したり、思いも寄らない真相が…というのではありません。
 しかし、初めにあっさりと犯人が逮捕されたところから遡り、一体、何故殺人が起きたのかを見せ、
 更にその原因を見ていく、という過程は、「縁」 を感じるには、非常に効果的だったと思います。
 推理ものとしての構成ではなく、ひとつのテーマを描くための手法として、素晴らしかったな、と。
 黴がもっとも気に入ったのは、所々にちりばめられた小ネタ。
 小ネタと言えども、これも 「物事には必ず原因がある」 という点をうまく表している良い小道具でした。
 例えば、捜査一課に対して、やけにスラスラと受け答えをした管理人さん。
 これは前日、似たようなことを右京さんに質問されていたために、聞かれる前から捜査一課の
 知りたいことが大凡解っていた、というカラクリ。
 時折、意味ありげに通り過ぎていった犬連れの男性の演出も良かったです。
 樫山さんは、誰とも繋がりがないと思っていた自分が、この男性やその愛犬と、
 ひょんなところで繋がったことに微笑んだんですよね、きっと。
 いや~、今回は本当に楽しめました。
 ところで、大家の遠山さんって、殺人講義のときの人でしたっけ?




【来週の相棒】
 もう最終回かぁ。
 やはり神戸くんの特命に焦点が当てられるみたいですね。
 9th seasonはあるのかしら?

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Posted by 黴 at 23:59│Comments(0)相棒
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