『晦～つきこもり』 プレイ日記　vol.20
前田良夫　4話目 『転校生は魔女』
　あるとき、良夫のクラスに転校生がやってきました。
　サラサラの長い髪、色白の肌、瞳の大きな可愛らしい少女です。

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　彼女の名前は園部茜。
　園部さんは明るく優しく、勉強が出来て運動神経も良い、“完璧な” 優等生でした。
　クラスメイトは皆、園部さんが好きで、特に良夫の友人・江藤くんは彼女に夢中です。
　しかし良夫は、そのあまりに出来過ぎないい人ぶりに裏があるのではないかと感じていました。
　例えば、園部さんが世話をしていた金魚が腹を割かれて死んでいたり、校庭の小屋にいる鳥が死んでいたり。
　彼女は動物が殺されると哀しそうに泣いていましたが、良夫は強い不信感を抱いていたのです。

1.　悪魔ばらい　
　翌日の放課後、良夫は小屋の影でしゃがみ込んでいる園部さんを見つけました。
　近寄ってみると、彼女は鳥の死骸の腹を割き、内蔵を引きずり出していたのです。
　園部さんは、世話をしている自分をつついた鳥の悪魔をはらうために、腑を塩で清めようとしていました。
　良夫にも悪魔が憑いていると言って襲いかかってくる園部さんに反撃すると、
　彼女は自分の喉をナイフで切り裂き…消えてしまいました。
　そして、クラスの生徒も先生も、園部さんのことを覚えている人は居なかったそうです。
　良夫が調べたところによると、かつてこの学校で 『悪魔ばらいごっこ』 をしていた生徒が心臓麻痺で死亡。
　その 『悪魔ばらいごっこ』 とは嫌がる相手にカエルなどの内臓を押しつけるイジメだったのだとか。
　園部茜は、心臓が弱かったという死んだ生徒の幽霊なのでしょうか。

2.　幼い魔女　
　事件の翌日は午前授業で家に帰された良夫ですが、当然遊びに出かけてしまいます。
　すると、園部さんが犬を連れて出歩いているところを目撃。
　後をついていくと、園部さんは校庭の小屋を開け、中に犬を入れて兎を喰い殺させているではありませんか。
　翌日、恐る恐る学校に向かった良夫に、園部さんが調理実習で作ったというお菓子を差し出します。
　食べる気になれなかった良夫が江藤くんにあげると、彼はカップケーキを一息に食べてしまいました。
　すると、突然江藤くんは口から大量の血を吐いて苦しみ始めたのです。
　頭に血が上った良夫は、ちょうど現れた園部さんを追いかけて屋上へ向かいました。
　そこには園部さんの白い上履きが片方だけ落ちています。
　落ちたのかもしれない、と下を覗き込む良夫の背中を突き飛ばしたのは園部さん。
　間一髪、落下は免れた良夫ですが園部さんは尚も良夫を蹴り落とそうとします。
　片手を離して滅茶苦茶に振り回すと、園部さんの腹部に拳が入り、彼女は一瞬ひるみました。
　その隙に良夫が屋上へ上がると、よろめいた園部さんはそのまま地面へ…。
　そのまま園部さんは救急車で運ばれ、学校に出てくることのないまま転校していったそうです。

3.　黄泉がえり　
　外出禁止を破って出歩く園部さんを見た良夫は彼女の後をつけていきます。
　何やら胸に包みを抱えて墓場へ入っていく園部さん。
　墓場裏の山へ分け入った彼女は、包みに入っていた鳥の死骸を土に埋めています。
　翌日、通学路で轢かれて死んでいる猫を見つめる園部さんに遭遇した良夫は、例の山へ行ってみました。
　すると案の定、園部さんは猫の死骸を埋めに来たのです。
　まだ足りない、と言いながら、ナイフを片手に良夫を襲う園部さん。
　切りつけられた良夫の血が地面に落ちた瞬間、土の中から老人の死体が這い出てきました。
　それを見た園部さんは 「おじいちゃん！」 と叫び、老人と共に居なくなってしまったそうです。
　良夫は後に、園部さんが家族を失い、養女に出されていたことを知りました。
　淋しかった彼女は、大好きなおじいちゃんを生き返らせようとしたのでしょうか。

転校生というものは、“謎の存在” です。
特に幼いうちは、「知らないところから突然やってきた新しい顔」 は、得体の知れない珍獣も同然。
それが人間ではないかもしれない…というのは、子どもならではの発想ですね。
場合によっては、この話にも後日談が発生します。
そちらでは魔女の正体が明らかになるのですが……。






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